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腋臭(ワキガ)に悩む方にとっては、その原因はとても気になるものです。自分の両親やきょうだいが腋臭(わきが)の場合、自分も腋臭(ワキガ)なのではないか、あるいは自分の子どもも腋臭(腋臭)になってしまうのではないかと遺伝を心配される方も多いはずです。
今回はそのような方のために、腋臭(ワキガ)と遺伝の関係についてお話します。
ワキガ体質は遺伝しやすい
腋臭(ワキガ)は、多くは遺伝による影響と言われています。腋臭(ワキガ)の原因はアポクリン汗腺から出る汗によるものです。アポクリン汗に含まれる脂質やタンパク質を分解するときに、皮膚の常在細菌と混じって臭いの元となる物質が発生します。アポクリン汗腺から分泌される汗に含まれる成分と腋の下の皮膚表面にある常在細菌が出会うと特有の臭いが発生します。これが腋臭(ワキガ)の臭いです。このアポクリン汗腺の量は生まれつき決まっているものですが、その量が遺伝するため腋臭(ワキガ)が遺伝するということになります。
両親(父・母)または兄弟が腋臭なら腋臭の可能性が
腋臭(ワキガ)の遺伝子は優性遺伝するので、両親の両方あるいはどちらかが腋臭(ワキガ)であればかなりの確率で遺伝することとなります。腋臭(ワキガ)体質が両親から遺伝するのは、アボクリン汗腺の数を親から受け継いでしまうためですが、この数は生まれながら遺伝によって決められています。そのため後天的に発生したり、成長とともに数が増えることはありません。生まれつきアボクリン汗腺の発達している人は、成長期を迎えるころには重度のワキガになる可能性もあります。反対にアボクリン汗腺の数が生まれながら少ない人は腋臭(ワキガ)になる可能性は低いです。アボクリン汗腺は 成長するにつれ大きくなっていきますが、成長期にアボクリン汗腺がどれだけ大きくなるかも腋臭(ワキガ)の程度を決める決定要因となり遺伝により影響を受けます。このような決定は多分に遺伝子の影響を受けているので、両親がその遺伝子を持っていれば、腋臭(ワキガ)になる可能性はかなり高まります。自分だけでなく、きょうだいにも遺伝する可能性が高まります。もし家族に腋臭(ワキガ)の人がいれば自分にも腋臭(ワキガ)である可能性はかなり高いと言えます。
腋臭が遺伝してしまう確率とは!?
両親が腋臭(ワキガ)の場合、腋臭(ワキガ)になる可能性は80%、そして両親のどちらか片方が腋臭(ワキガ)の場合は50%とも言われ、かなり高い確率で遺伝することが分っています。このような高い確立で遺伝する理由は、腋臭(ワキガ)が 優性遺伝 するからです。
優性遺伝は、親の形質の現れやすい優性と、表れにくい劣性の2つがある時、優性の形質が表現型として表れることを指します。このように対立している遺伝子がある場合、どちらか強い方の形質が子どもに受け継がれてしまうことになります。この強く現れる遺伝子を優性遺伝子、出現しない遺伝子を劣勢遺伝子と呼びます。
例えば腋臭(ワキガ)の原因となるアポクリン腺の数を決める染色体が、父親と母親から1つずつ遺伝子を受け継ぎ、 対になってできていますが、母親の遺伝子を A 、父親の遺伝子を a と表した場合、AA、 Aa、 aa という3つの組み合わせがありま。しかし優性遺伝の場合、 中間 という概念がないので、どちらかに一方が出現します。つまりAAかaaのどちらかになります。
そして最近では、自分の腋臭(ワキガ)だけでなく、子どもに腋臭(ワキガ)が遺伝してしまったらどうしよう、子どもの腋臭(腋臭)が心配だというご両親も増えています。自分も親から遺伝したので、子どもにもそのリスクがあるのではなか、もしそうなら遺伝しない方法かないか、治療できないかと医院を訪れるご両親も増えています。実際には遺伝子を変えることはできないので、根本的に腋臭体質を変えることは不可能です。しかし腋臭(ワキガ)を表出しにくくしたり、対処方法はいくつかあります。子どもでも腋臭(ワキガ)対策は可能です。臭いを軽減したり、汗をかきにくくすることや、良い汗を増やすことでアポクリン腺の汗の割合を少なくするなど、自己対処法もあります。特に腋臭(ワキガ)が発生する前に、腋を清潔に保つように通気性の良い下着や衣類をつけたり、こまめに衣類を交換する、汗を拭きとるなど日常的にできることもいくつかあります。子どものことから早めに腋臭(腋臭)にならない環境にしておけば、将来的にも腋臭(ワキガ)になりにくくなります。遺伝だらかと諦めずに早めに対策していくことも重要です。
このように腋臭(ワキガ)の原因にはアボクリン汗腺が関与していて、遺伝が重要な要因であることは説明した通りですが、日本人ではわずか10%の人がこの汗腺を持って生まれてきます。もともと腋臭(ワキガ)体質の人は、10人に1人程度と、他の人種と比べればそれほど高い割合ではありません。また実際にはすべての人が腋臭(ワキガ)になるわけではないので、遺伝の要因は他の人種に比べれば限定的であるとも言えます。
ワキガ臭がし始めるのは思春期から
腋臭(ワキガ)が酷くなる原因は、アポクリン汗腺から出る汗のためです。アポクリン汗腺はもともとフェロンを発生させる役目があることからも成長とともに発達します。成長とともに徐々にアポクリン汗腺が活発に働くようになると、腋臭(ワキガ)も強くなってきます。アポクリン汗腺が成長し始めるのは10代前後ころからです。ちょうど中学生ごろに活発になり始めます。そして思春期になると、汗の発汗量も増え、皮脂分泌も増えるので、さらに腋臭(ワキガ)が悪化しやすくなります。また思春期を迎える中学生になると部活動などで運動する機会が増え、腋臭(ワキガ)になりやすい環境になります。そして、中学生ともなるとそろそろ体の変化や臭いにも敏感になる時期です。腋臭(ワキガ)のような固有の臭いに悩みを抱える中学生も多いです。家族や友達にも相談できずに悩んでいたり、コンプレックスになっている人も多いので、早めに周囲や家族が気づき、日常生活でできる対策など予防することが大切です。
腋臭(ワキガ)の判断・チェック方法
先回、お話しました通り腋臭(ワキガ)があるかを判断するにはいくつかの方法がありました。耳垢の湿り具合や粘着度、衣類や下着についた腋汗の黄ばみ、腋毛の量・濃さ、両親あるいはどちらか一方が腋臭(ワキガ)があるか、多汗症があるかなどでした。これらがあれば腋臭(ワキガ)である可能性が高いということでした(詳しくは“腋臭(ワキガ)を判断・チェックする方法について”をご参照下さい)。そしてこれらの判断基準によると、耳垢が湿っている、または粘着質であること、衣類や下着の腋の部分に腋汗の黄ばみがある、腋毛が多くて濃い、両親の両方あるいはどちらか腋臭(ワキガ)である、多汗症であるなどの項目がいくつか当てはまれば、腋臭になる可能性が高いということでした。是非これらのチェックリストで、ご自身やお子さまの腋臭(ワキガ)について確認してみましょう。
わきがと遺伝についてのまとめ
そしてこれらのチェックリストの中でも特に確率が高いのが遺伝による要因です。もし両親の両方あるいはどちらかが腋臭(ワキガ)であれば、あなたも腋臭(ワキガ)の可能性が高いです。もしご自分の子どもについても心配であれば、以下のようなチェックリストについて調べてみると腋臭(ワキガ)かどうか判断する目安になるでしょう。遺伝は重要な腋臭(ワキガ)原因ではありますが、必ずしも遺伝するわけではありませんので、他の項目と合わせて確認することが必要です。