アポクリン汗腺とエクリン汗腺の違いについて

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

人のかく汗には主に2種類の汗があります。アポクリン汗腺から出る汗とエクリン汗腺から出る汗です。この2種類の汗にはそれぞれ特徴があり、汗が出る場所や出るタイミング、臭いや成分にも違いがあります。
 今回はエクリン汗腺、アポクリン汗腺と、2つの汗腺から出る汗の違いについてお話します。そしてこれらが腋臭(ワキガ)へと繋がる原因やどのような方が腋臭(ワキガ)になりやすいのかについてもご説明します。

エクリン汗腺とは

 エクリン汗腺は、人体のほぼ全体に分布している汗腺です。背中、お腹、脚、腕、顏など、陰茎の亀頭、包皮の内側、陰核、小陰唇、外耳道、爪床、唇以外の日常的にかく汗はほとんどがこのエクリン汗腺の汗です。平均的に、人の体には平均350万個のエクリン汗腺が存在していると言われ、全身に広く分布しているのが特徴です。しかしこれらすべてが活動しているわけではありません。実際に活動して汗を出しているのは、ごく一部で能動汗腺と呼ばれます。エクリン汗腺の能動汗腺で、汗の量が決まります。能動汗腺の割合は、生後数か月以内に決定されると言われ、温度などの環境度などにより影響を受けます。
 エクリン汗腺には次のような働きがあります。一つ目は温度調整です。体温の上々を抑制し、一定に保つために発汗します。これにより体温を37度前後に保つことができます。二つ目は精神的な発汗です。不安や緊張、驚きや恐怖から発汗します。手のひら、脇の下にかきます。三つ目は味覚に対する発汗です。辛い物や熱い物を食べた時に発汗します。額や鼻にかきます。

エクリン汗腺から分泌される汗の特徴

 エクリン汗腺から出る汗は、エクリン汗と呼ばれ、もう一方のアポクリン腺からの汗に比べると成分が薄いです。エクリン汗腺は、肌の表面の浅い位置にあり、汗孔と呼ばれる毛穴から汗を放出します。エクリン汗は99%が水分で、酸性なのが特徴です。残りの1%は、塩分やカリウムなどが含まれています。
 エクリン汗腺から出る汗は、サラサラとしていて乾きやすいことが特徴です。そして臭いがないことが多いです。エクリン汗の良い汗は、体温が上昇すると体温調整のために出る汗です。この時血液から水分とミネラルが取り込まれ、汗となって皮膚表面に表出します。水に近い成分なので、気化しやすく乾燥しやすいのが特徴です。このようにエクリン汗腺からの良い汗は、ベタベタした不快感が少なく臭いもない汗が多いです。
 一方でエクリン汗腺から出る汗でも悪い汗もあります。悪い汗は、エクリン汗腺の機能が弱った時にかく汗で、血液中のミネラルを吸収できないため。粘着質の汗をかくことがあります。このタイプの汗は蒸発しにくく、いつまでも肌にまとわりつくような感触で不快度も高いです。そして悪い汗をかくのは、食生活の乱れや不規則な日常生活、ストレスや運動不足などもその原因となります。汗の成分は発汗の原因によって変わってきます。苦痛などのストレスを受けて出る汗は、特に粘着質の汗になることが多いとも言われています。

アポクリン汗腺とは

 アポクリン汗腺は、動物の外分泌腺の一つです。離出分泌腺とも呼ばれます。アポクリン腺で排出される汗は、脂質やタンパク質などを多く含み、分泌物が皮膚の常在細菌と反応して分解されるときに発生する臭いがフェロモンです。
 アポクリン汗腺から出る汗は、もともと動物の種の繁栄の目的がありました。種が繁栄するためには、種の多様性を保たたねばならないので、自分と同じ臭いがする同族以外の種を探さなければなりません。このように個体を識別するために出される臭いがフェロモンです。しかし人間の進化の過程でこのような働きが不要になるとアポクリン汗腺も次第に退化していきました。アポクリン汗腺が、脇の下、耳、乳首、肛門近辺など特殊な場所に残っているのはそのような理由があります。
 そして乳腺やまつ毛腺もアポクリン腺の一つです。これらは出生後に一時退化していますが、思春期になると再び活発になります。アポクリン汗腺の発達はホルモン分泌に大きく影響を受けています。通常、思春期までは未発達ですが、成長ホルモンが活発になると同時に発達していきます。性機能との関係が考えられています。例えば女性は、脇のアポクリン汗腺の分泌は、月経周期と連動しているとも言われ、月経前や妊娠中に分泌が増えるとも言われています。そしてアポクリン汗腺は、エクリン汗腺より皮膚の深い部分にあり、アポクリン汗腺の汗管は、毛包の脂腺開口部にあります。
 

アポクリン汗腺から分泌される汗の特徴

 アポクリン汗腺から分泌される汗は、7~8割は水分で、残りの2~3割に腋臭(ワキガ)の元となるタンパク質、脂肪酸、アンモニア、鉄分、糖質などが含まれています。アポクリン汗腺からの汗は、乳白色または黄色っぽく見え、皮膚表面に表出されると常在菌で分解され悪臭を発生します。アポクリン汗腺は、エクリン汗腺と同じように精神性発汗もあります。緊張、不安、驚き、恐怖などにより、手のひらや脇の下に汗をかきます。脂汗とも言われる汗でベタベタと粘着度の高い汗です。このような汗が脇から分泌され、汗の臭いが強くなることを腋臭症と呼びます。
 

腋臭(わきが)はアポクリン汗腺からの原因

 思春期以降、ホルモンのアンドロゲンの分泌が高まると、アポクリン汗腺や皮脂腺も活発になります。そしてアポクリン汗腺の出す汗や皮脂の成分が、毛穴や皮膚の表面にある常在菌によって分解され、腋臭(ワキガ)へと繋がります。
 そして腋臭(ワキガ)は、汗と雑菌の相乗効果により発生します。汗はエクリン腺とアポクリン腺から出ますが、腋臭(ワキガ)の原因は主にアポクリン汗腺からの汗にあります。アポクリン腺から分泌される汗は塩分があまり含まれていので、菌が繁殖しやすくなります。さらにアポクリン腺の汗に含まれるアンモニアや脂質などの成分が菌によって分解されると、臭いのもととなります。
 そしてこのようなアポクリン腺の汗が多いのは次のような目安があります。一つ目は、脇に黄色い汗シミができやすい方です。黄色い汗シミはアポクリン腺の汗の特長です。エクリン汗腺から出る汗が無色なのに対して、アポクリン腺からの汗は腐敗物の影響で黄色く変色しやすいです。二つ目が腋毛の濃い方です。アポクリン腺と腋毛の量は類似しています。そのため腋毛が濃い方はアポクリン腺も多くなり、腋臭(ワキガ)が発生しやすくなります。三つ目は両親が腋臭(ワキガ)の方です。腋臭(ワキガ)は遺伝要因がとても大きいです。特に両親とも腋臭(ワキガ)がある方は、遺伝する可能性が高まります。四つ目は耳垢が湿っている方です。耳垢が湿っている方は耳の中にあるアポクリン腺が活発に働いていることが多いです。このような方は脇の下のアポクリン腺も同じように活発なことが多く、腋臭(ワキガ)を発生しやすいです。
 このようにアポクリン汗腺の活発に働くと腋臭(ワキガ)が発生しやすくなるということがわかりました。しかし腋臭(ワキガ)は必ずしも対策できないわけではありません。腋臭(ワキガ)の原因となる悪い汗は、日常生活の中にも原因がたくさんあります。最近では様々な対策グッズもありますので、いろいろ取り入れて積極的に腋臭(ワキガ)対策をしていきましょう。